アオアシ

「アオアシ」の主人公「青井 葦人(あおい あしと)」は香川の中学生で、勝つことへの執着が強く地元では一番サッカーが上手い選手でした。自然とチームメイトを引っ張っていく立場になり、周りと熱量の差ができます。葦人は責任感のあるキャプテンのようなタイプではなく、サッカー大好き単純バカなので、そんな状況に物足りなさを感じるようになります。そんな時、偶然練習試合を見ていたJユースの監督に、ボールへの嗅覚とフィールド上の俯瞰能力を見出されてスカウトされます。葦人にとっては青天の霹靂で、初めて「サッカーで生きていく」という道を目の前に提示されるんです。Jユースに所属するためには横浜で一人暮らししないといけませんが、葦人の家庭は裕福ではないためお遊びではできません。家族と話してプロになる覚悟を決め、上京します。そこまでして上京して、スカウトされたんだから実力はあるはずだし、ここからはとんとん拍子に進むのか?と思いきや、すぐに挫折はやってきます。チームメイトとの関係性だったり、技術の拙さだったり。ユースに所属しているメンバーは誰もがプロを目指していて、すでに日本代表に内定しているメンバーもいる、その中で葦人が結果を出していくのは至難の業です。一つ乗り越えても、すぐに次の課題が見つかる。

アオアシのいいところは、壁にぶつかった時、自分は何ができないのか、では起用される選手は何が優れているのか、どうやって乗り越えるのか、を主人公目線で明確に説明してくれるところだよな、と思います。誰だって悩んでいる時は自分の現状が見えないものだと思うんですが、振り返って、気づいて、改善する、プロセスが毎回しっかりと描かれています。そうやって課題に向き合い続ける、葦人の成長速度には目を見張るものがあります。大人が読んでもハマる漫画だと思います。